大学入学を控えた今、過去4度の恋について語りたいスレ：関西大学 受験BBS

多分落ちて近大生になるから、聞く人おるんならやるせなさの誤魔化しついでにゆっくり語ってくで。受験生活の清涼剤ならぬ暇つぶしにどうぞ。

小学1年生、小学5年生、中学2年生、高校3年生とラインナップは四種。まあそこまで面白い内容ではないと思うけど、受かった落ちた何点だ解答速報がって騒ぐよりかは和めるかもよ。
高3の話になったらワイの受験生活についても語る、一応関大の板やしな。

チキンなワイはそのまま小学校卒業までズルズルと機会を逃し続け、遂に告白に至ることなく中学生になってしまった。卒業式の日、母が気を遣って無理やりその子とツーショットを撮らされた。恥ずかしかった。今でもその写真は残っとる。たまに見てやるせなさに襲われるんや……そして、ワイは心残りを持ったまま地元の中学校に進学した。女の子は住んでいる地域が地理的に微妙な場所なのもあって、別の公立中学に行ってしまった。

中学でもまあ環境が変わったこともあってそこそこ楽しくは過ごせてたんやけども、水を差されるみたいに二度目の失恋を味わう羽目になった。ワイは当時ボーイスカウト（って知ってる？）に所属しとって、そこの後輩に例の子の弟が入ってきたんや。その子が言うねん。
「姉ちゃんな、あれ、大分ヤバいで」
実はワイが5年生からずっと追い続けてきた黒髪ボブ童顔舌っ足らず美少女は、己の美貌を自覚した上で男を見下し弄ぶ悪魔みたいな女やったんや。まさかの内部リークにワイは目眩を覚えた。これ実話やで、信じられんやろ。恋心は一気に冷めたんやが、それでも好きなタイプとしてはワイの心に深い影響を与えたその子とは、中学入学時に別れて以来一度も会ってへん。
噂によれば県内のそこそこ底辺の高校に行ったとか。受験生活はしとるか知らんけど、今でも男どもを手玉に取って遊んどるんやろうなって……変則的に破られた恋やけど、もう一回くらいは会ってみてみたい。そんな人やった。

これがワイが軽度の女性不審になった理由や……とりあえずここまで。無いだろうけど、続きの要望があれば語るぞい。

お疲れ様やで
高3の話も聞きたいな

>>41
読んでくれてありがとう。
高3の話やな……中2と高3やと高3の話の方があっさりしとるから、受験生活を交えながら話すわ。

上の方でも言ってたけど、ワイは高校1年の秋ぐらいやったかな、その頃に科目選択で日本史を選択した。きっかけは担任の先生との面談。それで2年生になってクラスに配属されたわけやけど、そのクラスがまた地獄やったんや。ほんまに地上の修羅。悪いところを挙げれば切りがないクラスやねん。コロナの影響で学校が休校になった時期があったやろ？　アレのせいでまともにクラスに通えるようになったのは6月とかそのへんやったんやけど、お陰で自己紹介イベントが消し飛んだ。つまりクラスメイトと仲を縮める最初の機会が消滅したってことや。
その上、新しい担任は日本史教師のオバサン。自己紹介がなくなったせいで2から3人の小グループが乱立する教室を統治する技量も授業での解説も壊滅的、掃除だけやけに基準が厳しい、いわゆるハズレ枠の人で、高2はほんまに苦痛やった。

教室は一階、日光も差し込まない重苦しい雰囲気の立ち込める室内。そこで特に仲良くもない同級生とえんえん詰まらん授業を受け続ける（しかもコロナのせいで授業スピードがえげつない）。楽しみは母が作ってくれたお弁当の部活だけ。
そんな苦痛を和らげるために、ワイは何をしたか。言わずもがな、恋愛対象の発見や。中2の恋で流石に懲りたはずで、確かにサイコ具合はマシになっとったけど、やっぱり人って根っこの部分は変わらんねんな。
ただ、軽度の女性不審はまだまだ継続で、恋をして生活に色を付けようと思ってもなかなか運命の出会いがない。ワイは妥協点として、普段から恋愛対象として見ないまでも、陰からひっそり可愛い、天使などと応援を行うための「推し」を決めることにした。

「推し」の基準は、さっき言うたワイのタイプに照らし合わせて良いか否か。ワイの理論は完璧やった。表立った見た目や立ち振舞いだけで、女の子を陰から持て囃す。直接的な恋に踏み切れない以上、これよりも最適な答えは無いと思った。
クラスメイト一人の名前もわからん状態で誰を推すか観察を行い、最終的に一人の子がワイの目にとまった。
黒髪と言えないまでも茶色がかったボブカット、小柄な体格、笑った顔が活発なその子に、恋とは言えない何かをした。
でもまあ実際、恋に似た何かではあった。

その子は文芸部に所属しとった。話を盗み聞くに、なんでもその子はオタクっ子の気質があるようで、いつも漫画やアニメの感想を友達と笑って語り合ってた。ワイもその手の話題には一定の理解があったし、これはあわよくば友達にでも……！なんて思ってたんや。でもチキンなワイには話しかけることが出来ない。それを高校で出会った盟友（成績良し）に話したら死んだ魚みたいな目をされた。
少しは成長していたワイは、あぁ俺呆れられてるなぁと、やっとその場で自覚した。

高2といえば受験について真剣に考え出す時期。当然授業の密度も高くなるし、先生との会話も受験を控えた上でのものが多くなる。
ただ、ワイが選択した担任が担当の日本史Bは勿論のこと、情報科目や数学、英語表現とか、教師のハズレを引きすぎた。ガチャ運の悪さは生まれつきらしく、今でもソシャゲに苦渋を舐めさせられとる……やから、この時ワイは国公立は無理やと思った。私立の文学部を軽く調べて、総合人文学科なる魅力的なコースがある関西大学に憧れたのもこの時期や。
数学や理系科目は捨てて、文系教科をひたすら勉強する日々が続き、ようやく地獄の二年生を乗り越えた。ちなみに修学旅行は九州三泊四日がおじゃんになって大雨のナガスパに変更。寒すぎて死にそうやった。雨でジェットコースター動いてへんし。
三年生になると、周りが段々浮足立ってくる。受験生の意識が芽生えつつあったんやな。ワイも来るその日を見据え、いよいよ数学は赤点を取りまくった。そして、例の女の子も同じクラスに進級していた。

うんうん

困ったことに、ワイは生来の怠け者で、勉強が全くと言って良いほど好きやなかった。コロナの休校、映像授業の時も余った時間はツタヤで借りてきたアニメに突っ込んだから、そりゃ今関大落ちそうになっとるわなって……学校での授業時、授業の質の悪さを紛らわせるために前の席におったその子を眺め続ける一学期。休み時間、あははっとか元気よくアニメや漫画を語るその子は真の意味で目の保養やった。
「推し」やけども、付き合えたらなぁ、こんな子が恋人になったら、関大なんかちょちょいのちょいで頑張ったる……そんな夢みたいなことを考えて毎日つまらん授業を受け、お母さんの弁当に舌鼓を打ち、部活をして帰る。
「いくらなんでも繰り返しすぎや……」
受験生で後がないこともあって、ワイは何か焦ったような気持ちになっていた。
「ここで行かな、一生恋人なんて……！」
その結果、ワイは驚くべき行動に出た。特に好きでもない「推し」であるだけのその子に、人生初の告白を捧げることに決めたんや。

いやなんでやねん！！

忘れもせん、一学期末テストの最終日、ワイは朝早く学校に来ていた。7時半とかその辺かな。そして「推し」の女の子の靴箱にラブレターを入れた。ラブレターといってもただ「テスト終わったらどこどこに来てください」みたいな呼び出しの文面のみ。何度も入れるか入れへんか、誰もおらん玄関で揺れまくったわ。でもテスト直前の落ち着かない気分や受験生の焦り、手紙まで用意して今更何を怖気づいてる、チキンは卒業や、とか色んな感情に諭されて、結局入れたまま教室に戻ってしまった。
一時間ほどして、その子が教室に登校してきた。ワイは何食わぬ顔で単語帳をめくってた。
「どうしたらいいんやろー……」
友達と話しながら声高にそう言って女の子は現れた。ワイは光の速さで後悔した。

テスト中は女の子の言葉が頭の中で響いて集中もクソもなかった。確かその日の二教科受けた内の片方が赤点や。滑稽滑稽。
放課後になると、いつも一緒に帰る友達二人に待っててくれるよう伝え、ワイは呼び出しの場所へ。女の子が先に来てスマホを弄ってることを陰から確認すると、ゆっくりそちらに歩みだした。
ワイ「あ、あの……」
女の子「あー、どしたん？　呼び出して……」
明らかに呼ばれた理由は察されてた。そんな中、ワイは定型の台詞を言うて、普通に玉砕。流れるように「お友達から……」と用意してたことがバレバレな断り方された時は胸の中が切なさで一杯になった。また苦笑しながら申し訳無さそうに断るねん、その子。罪悪感と共に社交辞令的なLINEを交換し、ワイは自転車を全力で漕いで家に帰った。
そのLINEは恐らく今後二度と使わないやろうなぁと、当たり前のことをぼんやり思ってその日は早く寝た。初告白を捧げる相手はもっと他にいたはずやのに、情けないと思う。もともと「振られて吹っ切れ、受験に集中するため」の告白やった側面もあるから、まだダメージはマシやったけどな。

4回目の顛末はこんなところ。中2の話は要望があれば（なんか受験関係なさすぎて申し訳ない）

受験関係なくても全然いいよー
良ければ中2の話も聞かせて

>>53
ありがとう。用があるから、夜からまた書きます

イッチの文章の書き方上手すぎて夢中になって読んでた。 夜の部も楽しみに待ってます{emj_ip_0041}

4回の恋、そのスパンも自分と似てて勝手にシンパシー感じながら見てます。中2の話も楽しみにしてます。

お待たせしました、中2のこと語ってくで。

遠回しに拒絶された一度目、内部告発によって女の怖さを思い知った二度目、そして玉砕覚悟の上で推しに突っ込んだ四度目……その真ん中に位置する三度目の恋。
ワイは中学校に入って吹奏楽部に入った。小学校のときにやっとった金管クラブでトランペットをしとったワイはそれくらいしか気になる部活が無かったんや。幸運にも部活では即戦力として重宝されて、希望通りトランペットパートへの配属が決まった。吹奏楽部を知らん人は分からんやろうけど、どのパート（楽器部隊）に配属されるかは顧問と相談の上メンバーのバランスも考えて運がかなり関わってくるねん。そう思えば、当時のワイはラッキーやったんや。トランペット＝花形って認識が楽器奏者の中では一般的やねん、メロディー担当が多いしな。

新生活を過ごす内に段々と友達も出来、小学校で嫌というほど膨れ上がったワイの歪んだものの見方も矯正されてきた。決して交友関係も勉強も最高って状態ではなかったけど、それなりに幸せやった。なんか急に痩せてきたしな（それまでは小太り体型）。
小学校と同じ地域の中学校やから、ワイをいじめてきた嫌な奴らも同じクラスにおったりした。やけどワイは新しく出来た友達の影響で「無視する」ということを覚え、今のワイのフォーマットが遂に完成したんや。高校ではいじめなんかなかったけどな。
こんなんやから、ワイは小学校の二度の失恋なんか脇に置いて、もう恋愛とか別に出来なくてもそこそこ幸せやしいっか……みたいな思考に到達していた。やから、三度目の恋は完全に想定外、非常事態も良いところやった。
まさかワイを好きになる酔狂な輩が現れるとは、当時は露ほども思わんかったよ……

中学二年生になったある時、同じ部活の女の子からLINEが来た。
「話したいことあるから、一緒に帰ってくれる？」
その子の帰り道はワイと真逆やった。明らかに何か重大な事を伝えられると悟ったワイは慌てて承諾。けども、実際に告白されてみるまで「そういう発想」に辿り着くことはとうとうなかった。何かやらかしたかな、怒らせたかな……とかあれこれ考えて。小学校で二度トラウマを植え付けられたワイは恋にかなり、かなーり及び腰になっとったんや。部活が終わった夕暮れ時、徒歩のその子にワイは自転車を押してついて行った。

雲一つない赤い空、周りには田んぼしかない牧歌的な風景、凸凹のコンクリートで雑に舗装された細いあぜ道。その真ん中で問答は行われた。
ワイ「あの、話したいことって……」
女の子「え、えっ……わ、分かるやろ」
ワイ「いや、その……」
女の子「分かってるくせに。意地悪っ」
ワイ「いや、ほんまに分からんくて」
女の子「……え、めちゃくちゃ好き」
ワイ「え」
女の子「これで満足！？　満足か！？」
満足も何も、事態を飲み込むのにしばらくかかったわ。衝撃以外の何物でもなかった。この世に神も仏もあると思った。奇跡って、あるんやなって。

その女の子は、ワイよりも背が高かった。太くはないし女の子らしい体型やねんねど、身長のせいで割としっかりした体格に見える。その子は部活でもかなりの個性派として名を馳せてた子で、入部した時は独特な引き笑いをするもんやから、その笑い声を聞いた周りもワイもまとめて笑顔にしてしまうような、ほんまに、なんというか、変わった雰囲気の人やった（後で聞いた話、自分が笑うと部活の練習にならんから自力で直したらしい）。
顔は普通。可愛すぎない程度やけども、ワイのタイプからは残念ながら外れてた。やからあんな衝撃的な告白を受けたワイも、その時は涙を呑んで断ったんや。女の子選べる立場ちゃうやろ、何やっとんねん……それはごもっともな指摘。ワイの返事を聞いた女の子は、ちょっと悲しそうな顔をしたけど、すぐにいつも通りの引き笑いをした。変わった子やなぁと、その時も場にそぐわずに暢気に思ってた気がする

家に帰ったワイは改めて考えた。もう二度と告白されることなんてないかもしれない、好きになってくれたことが凄く嬉しい、あれ、もしかして付き合っていけるんじゃ……思索を巡らせて、ワイは、その女の子と付き合う決意を固めた。付き合って、それから好きになれる。根拠のない自信が体の底から湧いて、ワイはお母さんに報告した。
ワイ「お母さん、俺、告白された。付き合う」
母「あらあら」
母の瞳には切なさはなく、なんとなく喜びが見え隠れしていた。ごめん、あんなワイが女の子と付き合うなんて思ってなかったよな。母からしてみれば、ワイなんかただのストーカー変態野郎やった。イメージ払拭の時代がやってきたと、ワイはそれからの中学生活に希望を抱いた。いやあ、我ながら調子に乗っとるなコイツ……

一ヶ月後、ワイはその子との正式なお付き合いを始めた。最初の頃は一緒に帰ることがメインやったかな……ただ、部活の終わりって他のメンバーも一緒に帰ろうとするやんか。それで二人きりで下校出来ることは滅多になかった。
その子は本当にワイのことを好きでいてくれたらしく、抱きしめろとか、キスしてとか、割と積極的な要求が多かった。ウブなワイはもうほんまにタジタジになってもうて、彼女の要望に応えるのに必死や。いや、凄い嬉しかったけども。一通り恋人がやるようなイチャコラはやった気がする。うん、今現在のワイが見たら発狂するようなものを、一通り。クソ恥ずかしい。

すみません、これから三度目の恋がどんな展開を迎えてどんな風に終結するのか欠くつもりやってんけど、明日になっても良いですか？
もしそれまで待ってくれる心優しい方がいらっしゃるなら、4度の恋の完結までもう一日だけ待ってください。
ごめんなさい！

>>64 面白いネット小説見つけた気分でした。話がめちゃくちゃ濃密で面白いです！
お時間があれば是非とも続きをお願いします{emj_ip_0144}*♀*

乙
めちゃめちゃ読みやすい
受験板でこんなものがあるとは思わんかった

ワイと似たような経験してた人っていたんやな…
なんか元気貰えたわ
ありがとう

よし、午前中には最後まで書けるかな……。

その女の子とは、一度目や二度目、ましてや四度目とは比べるべくもないほど関わり合いになる時間が多かった。中学生の頃はほとんど365日時間の許す限りLINE。朝起きても、夜寝る前もLINE。二人とも初めての恋愛やったから、恋人とはかく有るべき！みたいなイメージがLINEを続けるくらいしかなかったのかもしれへん。
印象に残ってるのは、大阪に出かけてたこ焼きを食べたこと。クリスマスの日、彼女の家まで銀のブレスレットを届けたこと。下校中、野良猫と戯れたこと。セーラー服を着せられたこと（凄い興奮された）。散髪後の写真を送れとしつこく言ってきたこと。
思い出は書ききれへんほどあった。実は恥ずかしすぎて書けへんものがほとんどやったりする。

中学二年生の頃、ワイは小学校の頃は目をつぶっても出来た勉強が行き詰まり始めた。努力せず、授業の内容や才能だけで登っていける限界まできたってことやな。定期テストの結果もぱっとせず、どの教科も60点みたいな、突き抜けた頭の良さはどっかに行ってもうた。当時は二年生やったけども、高校受験なんて遠い未来の話やと思ってワイは気楽に構えとった。親や先生は渋い顔をしてたけど、その頃ワイは丁度反抗期に近い時期がやってきた。大人を困らせてるというだけでちょっと楽しかったんや（アホすぎ……）。
ある時、受検に備えた実力テストみたいなものが学年一斉に実施された。県内でも五本の指に入る高校に行くには校内上位15%には入らなあかんねんけど、ワイの順位は真ん中くらいやった。それでも危機感なんてものはなくて、なんとかなるの精神で悠々に過ごしとったんや。
でも彼女は学年10位に入ってた。
ワイの初めての彼女は、めっちゃ勉強が出来た。

心に生まれた違和感を無視して、中学三年生に進級したワイは彼女と二人でオープンキャンパス（高校の場合でも言うんやっけ）に出かけたりした。その高校は県内で一番賢い公立普通科の学校で、なんとなくワイは場違い感を感じた。彼女は真剣に部活や教室を見て回る……これを見て、ああ、この子は、ワイとは違う世界におるんやなって……うん、見せつけられた。
二学期の中間テストが終わったくらいやったかな。ワイと彼女で点数の比べっこをしとって、ワイは彼女に全ての教科で負けた。それも大差をつけられて。惨敗や惨敗。彼女の前では平静を保ってたけど、内心は穏やかちゃうかった。どうしようもない自己嫌悪がむくむくむくむくっと膨らんできたんや。

今思えば、その自己嫌悪は思春期特有の感情制御の暴走やったんやなぁって分かるねんけど、当時のワイはそんなもん知らん。ちょっと小雨が降って寒い外を自転車で全力疾走した。学校を挟んでワイの家とは真逆の方にある彼女の家から、そりゃもう走った。漕いで漕いで漕いで漕いで、途中で滑りそうなったけどなんとか持ちこたえて、やっと家に帰ってきた。
気持ちの整理はまだついてへん。この嫌な感情がなんなのか全く正体不明。ただ心臓だけはバクバクうるさかった。
ワイは何が嫌やった？何がこんなに心に刺さった？これはどうやったら消えてくれる気持ちなんや？
そんなことをうだうだ悩んで、シャワーを浴びながら家族にバレないように泣いた。多分、バレてて黙ってくれとるんやろうけどな。

夜、LINEで彼女に対する自分の劣等感を頑張って打ち明けた。彼女はゆっくり相槌を打ちながら聞いてくれた。つまりワイは、悔しかったんや。あと、情けなかった。
彼女が良い人であればあるほど、それに見合う男になりたいっていうワイの申し訳なさが大きくなっていくような気がした。おかしい話やけんけど、気持ちってのはよく分からん。
次の日、ワイはA4コピー用紙に学習計画を書いた。恐らく大学受験よりも気合入ってた。
恋愛とは男をここまで動かす。ストーカーみたいに歪んだ方向にねじ曲げるんじゃなくて、勉強に傾けることもできる。
恋って不思議やね。

それからのワイはもう見違えるように勉強した。偏差値60の高校に行くために来る日も来る日も勉強しまくった。早朝の寒い中自転車を転がして朝勉しに中学まで行ったり、放課後図書室で問題集をやったり、今までとは比べ物にならへんくらいやる気を出した。
全ては彼女に追いつくため。彼女に見合うだけの男になるため。与えられっぱなしは嫌やっていう悔しさがワイを高みに押し上げてくれた。
たびたびの実力テスト、定期テスト、学年末テストの全てで彼女を打ち負かすことに成功した。こんなに達成感あふれることがあるんやと、ワイは子供ながらに感動をたんまり堪能した。彼女は可愛らしい笑顔で「やったやん」と、自分が負けたことなんか全く気にしてない風に笑ってた。引き笑いじゃなくて、普通の笑い方。この頃にはもう自力で笑い方の癖を直しとってんな。ワイは「うん」って、引き笑いしてしまいそうなくらい喜んだ。

ワイが行きたかった高校に合格したとき、彼女は既にワイが目指してた高校とは別の高校に進学することを決めてた。これはワイと同じ学校が嫌やったってわけではなくて、単純にそこでやりたいことが出来たからって話や。この考え方は文学部っていう行きたい場所のために頑張ってた今のワイの考え方にも通づるものがあるな。
ワイは悲しくはなかった。LINEは毎日できるし、一生の別れってわけでもない。また会うことを約束して、中学校を卒業した。小学校の頃はボロクソに泣いたけど、中学校はそんなやったかな。ほんまに、部活と恋愛に専念した3年間やった。これ、聞きようによっては最高の中学生活に聞こえるかもしれへんけど友達少ないし普通にいじめっこはおるし校内施設はオンボロやし、なかなかに酷いもんやった。でも部活と彼女が最高やった。それだけやで。

でも、お互い別々の高校に進学するとどうしても時間が合わないことが増えていく。彼女は吹奏楽部の道を続け、ワイは演劇部で新しい環境を開拓しようと企てた。それのすれ違いもあって、毎日のLINEもスタンプだけでの会話が多くなっていく。
ああ、お決まりのパターンや！
お察しの通り、ここから尻すぼみ的な感じで二人の距離は離れていく……悲しいなぁ。
ある時、彼女からLINEがやってきた。まあ、言われてもしゃあないやろなぁとは思ってた。

「別れませんか」

思ってたけど、実際言われると胸にずんってくるもんがあるもんやな。

最後に外食に誘ったけど、それも断られた。そりゃそうやろうな、今まで散々時間が合わん時間が合わんで先延ばしにし続けたご飯が、別れようって話が出始めてから急にやってきたんやから。無理もない話。
別れて数日後、彼女からのLINEがあった。
「買ってた誕生日プレゼントだけ渡してしまいたいから、駅前に来てくれる？」
あろうことか、ワイはその約束をすっぽかしてしまいそうになった。
いや、行きたくないとかじゃなかってん！単純に忘れてたんや！それも酷いけど！！
ワイは小雨の降る中、自転車で駅前に向かった。奇しくも、涙したあの夜と似たような小雨やった。

ワイ「遅れてごめん」
女の子「……ん。はい」
ワイ「あ、ありがとう」
女の子「うん。……その」
ワイ「じゃあ！！」
重い空気に耐えられんくなって、ワイはその場から逃げ出した。「その」の後になんて言おうとしたのかは、実は今でも分からん。本人も忘れてしまってることやと思う。
帰ってプレゼントの封を切ると、そこには懐中時計が入ってた。高級なものではなさそうやけど、時計盤に宇宙の背景が描かれた、可愛らしい懐中時計。ワイは優しい彼女の精一杯の別れを受け止めて、もう一回泣いた。
ワイは、最後の最後まで、本気の恋愛感情を彼女に持つことはなかった。

その後は部活の同期の仲介で後輩たちの演奏会で会うことになった。お互いどう接していいのかわからんくて、ロボットみたいな挙動や。おかしいやろ。結局同期が仲を取り持ってくれて、「嫌な気持ちはないから、友達として仲良く」という決着に落ち着いた。割と最善の道やったんやと今では思う。ツイッターで彼女は相互フォローやけど、リプライはせぇへん。いいねをするにもなんだか無駄に勇気がいるけど、それでも仲は悪くない。良い、友達になった。
二人の恋愛は青春の遺物と化した。
そして、最後に貰った懐中時計はワイが関西大学文学部を受験する時、ずっと、机に置かれていたんや。あの頭が良くてとっても優しい、最高の彼女の力はワイを合格という春まで連れてってくれるやろうか。
うん、ごめん、無理かも……。
落ちそうでごめんなさい！！

いや、受験BBSでこんな内容を最後まで書けるとは思ってなかったわ……読んでくれて人ほんまにありがとう。質問とかあればどうぞ……。

お疲れ様やで
関大受かってますように

>>79
とても楽しませていただきました
お疲れ様でした！

なんかイッチには受かってほしいわ。
誰に語る意味もない青春時代を過ごしてきた自分にとっては憧れる。
1番おもしろいスレやった！ありがとう！

感謝です。

>>83イッチ可愛すぎて無理友達なりたい

>>83イッチ可愛すぎて無理友達なりたい

落ちたとしても、文才は十分にあると思うで

>>84
>>86

ありがとうございます！そう言っていただけると励みになります……近大でも上手くやっていけそうです。